「もうー! なんであたしが叶真の尻拭いしなきゃいけないの!?」



電話を切ったあと急いでキッチンに向かったあたしは、お母さんにも協力してもらってお弁当を作っていた。



お母さんは訳がわからないって顔してたけど、説明してる暇なんかなかった。



叶真があたしにかけてきた電話の内容はこうだった。



今日は大空君の幼稚園の運動会で、キャラ弁を大空君のために作ってあげると言っていた叶真。



だけど、今日に限って寝坊をしたらしく、約束していたお弁当に間に合わないとのことだった。



何とか昼までに持ってきてほしいと言われても、あたしの方が困るんですけど!



でも、あんなに必死になって焦ってる叶真は初めてだった。



いつだって余裕たっぷりだから。



あたしも昨日作ったお弁当を台無しにしちゃったしな。



あんなぐちゃぐちゃになったお弁当を文句も言わずに食べてくれた叶真。



村瀬さん達に嫌がらせされたなんて言えなかった。



それでも叶真は何も聞かずに完食してくれたんだよね。