今のは見なかったことにしようと布団を頭から被って寝ようとするけど。



切れてはまたかかってきてを繰り返し、とても安眠どころの騒ぎじゃない。



こんなにかけてくるって、何か急用?



あ~、アイツがまさかね……あたしに用事なんてあるわけないし。



そう思っていても、一向に鳴り止まない着信に仕方なく出ることに。



通話ボタンを押してスマホを耳にあてた。



『あ、乃愛!? おまえもっと早く出ろよ!』



人の睡眠を妨害しておいて、この偉そうな態度は本当に何なの。



「おかけになった番号は現在お客様の都合によりお繋ぎできません」



『は? 何ふざけたこと言ってんの?

おい乃愛。返事しろって』



このまま電話を切ろうかとも思ったけど、叶真の声がいつもよりも焦っているのに気付く。



「何よ、こんな朝早くに。

休みの日まで叶真の声が聞きたいなんて、そんな乙女なことはあたし思ってないんだけど」



『冗談言ってる場合じゃねぇんだよ。

乃愛に頼みがあるんだ。今から言う場所に弁当持って来てくんない?』