「ちょ……! 叶真っ」
俺の行動に気付いた乃愛がやっと声を出した。
素直じゃないヤツだけど、いつもなら素直じゃないなりに返答はしてくる。
乃愛の制止も聞かずに手提げバッグを開けたら、中に入っていたのは可愛い包みに入った弁当箱。
なんだ……やっぱ持ってきてたんじゃねぇか。
「弁当あるじゃん。なんで嘘ついたんだよ?」
弁当箱を取り出しながら尋ねる俺に乃愛は唇を噛んだ。
「い、いいでしょ! ちょっと失敗したの!
だから見せたくなかった。ただそれだけよ!」
今まで黙っていたと思ったら、今度は逆ギレかよ。
失敗したくらいじゃ、俺は別に何とも思わねぇのに。
失敗したから見せたくないなんて、乃愛も可愛いとこあんじゃん。

