どうしたもんかと乃愛を見ていると、後ろ手に何かを隠し持っているのに気付く。
「それ何?」
指差しながら尋ねると、乃愛の肩がビクッと小さく跳ねたのを見逃さなかった。
「何も持ってないけど? 叶真こそ何言ってるの」
あくまで隠し通そうとする乃愛。
そんなに見せたくないなんて、逆に見たくなんだろ。
「ふーん。ま、いいけど」
なんて俺が簡単に諦めると思ったら大間違い。
俺が諦めたと思い込んで気が緩む乃愛。
その隙を狙って乃愛に近付き、一瞬で手に持っていたものを奪い取る。
「あ……っ!」
乃愛が声をあげたのと、俺が手提げバッグを取ったのはほぼ同時だった。