叶真は付き合い始めてから今まで、一度もあたしに“好き”と言ってくれたことがない。
こんなこと言ってるあたしも、付き合ってから今まで叶真に“好き”って言ったことがない。
そんなあたしと叶真の出会いは、高2になってすぐだった。
2人の出会いと言っても、あたしは入学式の時から叶真のことを知ってた。
1年の時は隣のクラスだったけど、入学した時からすごい人気で女の子に囲まれてた。
その時のあたしはまだ叶真のことを好きじゃなかった。
というよりも、イケメンで軽い奴が嫌いだったから、興味もまったくなくて。
叶真はどこにいても目立つ奴で、どこにいても、こっちが意識していなくても、勝手に視界に入ってくる奴だった。
だから、叶真はあたしのことは顔どころか名前も知らなかったと思う。
あたしは叶真を好きな子たちとは違って、自分を着飾ったりしない本当にどこにでもいるごく普通の女子。
そんなあたしがどうして叶真を好きになったかというと。
入学式から2ヶ月経ったある日の学校の帰り道。
委員会で遅くなったあたしは、ひとりで下校していた。

