夕焼けに染まる時間

私は一人、病院の中庭にいた

静かにベンチに腰を下ろすと今まで出てこなかった涙がとめどなく溢れ出した

「うっ・・・ひっく」

何度も手で拭っては溢れ出す

ふと地面に影がさした

驚いて見上げると立っていたのは一人の男の子

「ねぇ・・どうしたの?大丈夫?」

急いで涙を拭き立ち上がる

「大丈夫です」

そう言って立ち去った・・はずが、私の腕は男の子に掴まれ動けなかった

「何ですか?」

少しイラつきながら言う

「大丈夫じゃないよね?さっき泣いてた」

見られてた・・・それも他人に
最悪だ

「僕で良ければ話聞くよ?」

男の子の目は真剣でこの人なら話しても良いかもしれない

そう思った

「私の話、聞いてくれますか?」