「………」
そこから声が出なかった。
「違う」って言えない。
言えるはずなの。舞花を応援しているんだから。
今、私の恋人は偽の関係でも結人なんだから。
「ー違うよ!本当に違うの!私が好きなのは結人だから」
舞花に嘘がばれないように、私らしい明るくて軽い言い方でそう言った。
「…本当に?」
チラッと私の顔色を伺うように視線をあげた舞花にニコッと笑う。
「もちろん!私にとって結人は特別な人で、舞花とせいは大事な幼馴染なの。って、自分で言ってて恥ずかしいな〜!」
アハハとふざけた調子で笑ってみせると舞花もプッと吹き出して笑い始めた。
ホッとして心の中でため息をつく。
良かった…ばれてないんだよね。
「良かった。正直、なながせい君を好きって言ったら私勝ち目ないもん」
「え?!勝ち目ないって、それあり得ないから!舞花ほどせいに釣り合う人はいないよ!」
美人で女の子らしい舞花はせいとお似合い。
みんなが認めてくれるはず。
いつか2人が付き合う日が来るのも、そう遠くはないかもしれない。