「おーい、なな〜」
クラスに戻って、係りの仕事が終わった舞花と桃と話しているとドアのところから結人がカバンを持って手招きしていた。
「なにー?」
結人の方まで行くと、後ろからスッとせいが追い抜かした。
「結人、ちょっといか?」
「あ?!俺?」
結人はビックリした声で自分のことを指で指した。
「うん、お前。なな、ちょっと借りるな」
「はぁ…」
別に私のものじゃないけど…。
「なになに〜?あの2人があんな風にしてるの学校じゃ見たことないよねー?」
舞花が駆け寄ってきて不思議そうに首をかしげた。
「うん。見たことない。何なんだろうね?」
ドアから顔を覗かして2人が歩いて行った方を見るけど、もう2人は廊下にはいなかった。
「結人君、ななを迎えに来たんじゃないの?」
後ろを向くと、桃が私の席に座って頬杖をついてニヤニヤしていた。
足まで組んで…まるで女王様。
「かもねー!今日は部活ないって言ってたし」
一応、恋人だしね。
そう心で付け加えておく。
「でもせいが結人にあんな風に話しに行くのは中々見たことないな〜」
私は腕を組んで考える。
まさかバレたりしてないよね?この偽恋人関係に。
せいは変に鋭いから少し心配だ。

