「なぁ、なな」
せいが小さな声で呼んだ。
「なな?」
「ん?なに?」
すぐに答えなかった私にせいはもう一度呼んできた。
答えなかったんじゃなくて…答えられなかった。
涙が溢れそうだったから。
「今日さ、2人で打ち上げしようぜ」
「打ち上げ?」
どういうこと?2人で打ち上げなんて。
私がキョトンとしてると、せいはあの無邪気な笑顔で笑った。
「リレーお疲れ様でしたってことで。俺の家でいい?」
「うん…」
その言葉に心が温かくなった。フワッと不思議な風が吹き抜けていくような感じまでする。
「まぁ!あれだね!私のバトンの受け渡しが良かったんだな!」
涙が出てこないように、私はシャンとして明るく言った。
「は?何言ってんだよ。ありえねー」
ムッとした顔でせいが不機嫌そうに言う。
「あはは、嘘だよ嘘!」
私とせいはそのままふざけあって教室まで戻った。
そう、私とせいはこの関係。
まるで兄妹みたいなこの関係が1番なんだ。

