「わ、私もね…せいがあとちょっと!って言ったの聞こえた。せいの声だけ、まっすぐ聞こえたの」
まっすぐせいの目を見てゆっくりとそう言った。
せいは驚いたような、戸惑っているような…そんな目で私を見ている。
「…そ、そうか」
先に目を離したのはせいだった。
顔を背けて小さく呟く。
「なんでだろうな?…幼馴染だからか?」
ははっと可笑しそうにまたせいは笑った。
「そうだね…」
『幼馴染』
その言葉に何故か今泣きそうになっている。
頭を殴られたような衝撃だ。
どうして、どうして…こんなに苦しいの。
『幼馴染』って…こんなに私を苦しくさせる言葉だったっけ?
もっと、安心できる、誇りにしてる言葉だったはずなのに…。
今は…ただただ苦しい…。

