四色恋模様








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『第65回、桜第一高校体育祭を閉会致します。この後ー』




終わった…。






アナウンスはまだこの後動く係などについて放送しているがそんなの耳には入ってこない。


「楽しかったね!」



閉会式が終わって舞花と一緒に椅子の片付けをしていた。


「うん、そうだね」


ニコニコ笑う舞花は、この体育祭で随分とやけた。


私もだけど。





「舞花ちゃーん、ごめんね!放送委員の方手伝ってくれる?」



「あ、分かった〜!ごめんねなな!」


「了解!椅子は任せて!」



ごめんと何度も謝る舞花を手を振って見送り私は舞花の椅子を自分の椅子に重ねて持った。



あー、また自分の教室に戻さなきゃいけないなんて…面倒くさい。


桃も体育祭実行委員の方で動いているし、1人で教室でまってよっかな。



ゆっくりとグラウンドを1人で歩いて昇降口に向かう。




「なな」



ドキッとして声のした方を向くとせいが椅子を持ってこっちに駆け寄ってきていた。


「せい?どうしたの?」



トク、トク、と急に心臓を打つ音が速くなった。



「篠田のやつ、係りでどっか行きやがったから」



あぁ、そういえば篠田君も放送委員だっけな。

そんな事を思い出しながらせいと並んで歩く。




「せい、追いぬかすなんて凄いね!感動しちゃったよあたし」



「まぁな、俺が負けるわけないだろ?」


フフン、と得意げに言うせいはそう言うと、「でも」と付け加えた。





「お前の声が聞こえたから。最後に頑張れた」



「え…?」



私の声…?それって…。


「お前だろ?負けるなーーってデカイ声で言ったの」



せいは思い出しているのか、可笑しそうに笑っている。


「うそ!あれ聞こえたの?私遠いから聞こえないだろうなって思ってたんだけど…」



信じられない。私の声が届いてたなんて…。




私が目を丸くしてせいを見てると、せいは得意げな顔でこっちを見た。




「お前の声はなぜかちゃんと聞こえた。他の声はほとんど雑音みたいだったのに。お前の声は聞き取れたよ」



せいは舞花に見せる時のような優しい顔で微笑んだ。