「なな!お疲れ様!」
棒立ちしてせいのいる方向を見てると、舞花と桃が駆け寄ってきた。
「なな凄かったよ〜!感動したもん!」
舞花まで涙をためて興奮した声でそう言う。
「ありがとう。良かったよ、せいにバトンを渡せて」
ふっと笑って2人を見る。
「リレー、やってよかったでしょ?」
ふふふ、と意地悪そうに桃がそう聞いてきた。
いつもの私なら、よくない!とか言ってるかもしれないけど…。
「うん!良かったよ!ありがとね」
今は本当にそう思う。私が笑顔だったからか、桃も嬉しそうに微笑んでくれた。
「せい君、すっかり囲まれちゃったね〜」
舞花が残念そうにせいの方をみている。
囲っているのは女子が6割ほど。
やれやれ、これでまた人気出ちゃうんだろうな…。
チクン…。
ん?チクン…?
一瞬、胸を針で刺されたような小さな痛みが広がった。
走って疲れたかな…?
そっと胸に手を当ててみる。
鼓動はもう安定してるし。大丈夫かな。

