不思議とそんな自信が沸き起こってきた。
「お願いっ!」
土だらけになった男の子からバトンを貰って私は全力で走り出した。
「「ななーー!頑張ってぇーー!」」
カーブを曲がる時に桃と舞花の声が聞こえてきた。
けど、姿を探す余裕は無い。
「なな!あとちょっと!」
ザワザワしていて皆んなが何を叫んでいるか分からないけど、その声はまっすぐ聞こえてきた。
まっすぐ前を見るとせいが手を伸ばしている。
せいが待ってる。私はできる限りスピードを出してせいに向かって走った。
「せいっ!」
そう叫んだ時、パシッ!とせいの手にバトンが当たったのが分かった。
「はぁ…はぁ…」
疲れて息切れしてるけど、せいが走ってるところを見たい。
『おーっと、赤組!青組に追いつきましたー』
アナウンスに一層グラウンドはざわついた。
私も顔を上げて反対側の方を見る。
本当にあとちょっとだ。あと少しで抜かせる!
私は思いっきり息を吸った。
「せいーーー!負けるなぁぁーー!!」
これだけ騒がしければ届くわけないけど、私は思いっきり大声を出した。
負けるのが嫌いなせいだから、きっとー
パパン!!
『1位、赤組!2位、青組!3位ー』
「うそっ…!」
思わず目に涙が溜まった。
ワーッ!と赤組の皆んなが席から立って喜ぶ声がした。
3年生の人達はせいの元に駆け寄っていく。
遠いけど、きっと嬉しそうに笑ってるはず。

