1走者…2走者…3走者…
私の番が近づいてくる。
私は5走者め。
アンカーのせいに渡す大事なポジションだって自分でも分かってる。
「はい、5走者めの人並んでー」
3走者めの人達が走り出して奇数組では私達5走者めが最後になった。
今、赤組は1位を走っている。
このまま、このままキープして!!
『今4走者めの人が走り出しました〜』
私の緊張した心とは裏腹に、ナレーションはのんびりした口調でそう告げた。
怖いよ、怖いよ…。
ドキドキと4走者めの赤組の子が走ってくるのをひたすら見つめる。
「あっ」
私が声を出した時、会場がワッとざわめいた。
『赤組!転んでしまいました!頑張って下さい!』
カーブを曲がるときによろけたと思ったら赤組の男の子は転んでしまった。
僅差で2位だった青組がすぐに追い抜かしていった。
「がんばって…」
小さく声に出して名前の知らない男の子を応援する。
「はいっ!」
隣では青組がバトンを渡していた。
もうすぐで赤組もくる。
大丈夫。私にはせいがいる。
せいが待ってるから、絶対平気!

