えへへ、と困ったように笑うと舞花はちらっと私から隣のせいに視線を移した。
「せい君、今度バスケ教えて欲しいんだ」
「え?いいけど…なんで?」
突然の事でせいは目を丸くした。
舞花は今までそんな事言ったことないし…なんでいきなりやりたいなんて…。
「体育の授業、バスケを選択してるから。私バスケ出来ないし」
恥ずかしそうにへへ、と笑う舞花。
それを見てせいは微笑んでる。
「ああ、俺がちゃんと教えてやるよ。お前は?」
「えっ!?私は、い、いいや」
2人に見とれていたものだからすぐに反応できなかった。
「そ?じゃあ舞花にマンツーマンで教えてやるよ」
「やった!ありがと〜」
本当に嬉しそうに笑う舞花。それは私や桃に向ける笑顔とはまた違う。
どうして…胸が痛くなるの。
私はキュッと唇を噛んだ。それでも胸の痛みの方が強くてたまらない。
舞花の嬉しそうな顔が、今は見たくない。
本当は私も喜べるはずなのに…。
今は素直に喜べない。
私は違う。舞花とは違う。
なんどもなんどもそれを繰り返し心に言い聞かせる。
ギュッと膝の上で握っていた拳をさらに強く握った。
私はせいの事なんて好きじゃない。
2人が話している間、心の中でずっと言い聞かせていた。

