「…いないよ」
呟くように答えるとせいはこっちを向いた。
「お前、いつから結人の事がすきだったんだよ。聞いたことなかったし」
「あ、そーだねー…」
付き合ってるのもせいと舞花のための偽の関係なのに…。そういう質問は予測してなかったな。
「やっぱりサッカーやってるとこ?かっこよかったし?」
何故か疑問系になってしまった。
怪しまれないかな…。
ドキドキしながらせいの言葉を待つ。
「じゃあ、バスケする俺を見てたら、俺の事好きになってた?」
「…へ?」
じっと私の目を見つめてくるせいは真剣そのものでふざけているようでは無かった。
「わ、わからないよ…」
急に鼓動が速くなって緊張してきた。
バスケをするせいを見てたら、私はせいを好きになった?
もちろん、サッカーをしている結人はかっこいいかもしれないけど好きになってないし…。
「…もしもの話!マジで考えるなよ」
ハハッと笑ったせいは私の腕を軽く肘で突いた。
「な、なんだ〜!びっくりした…」
せいの子どもっぽい笑顔を見て安心したけど、まだ鼓動は速いまま。
バスケをするせいを見てたら好きになってた?
まだ頭からこの疑問が離れられない。
バスケをしてなくったって…私はー。
「ただいま〜!」
ハッと我に帰ると舞花が後ろから走ってきていた。
告白されて帰ってきたのか…。
「どうだった?」
舞花に向き直って苦笑いで聞く。
「それが、なかなか引いてもらえなくて…時間かかっちゃった」

