「ところでせい君、また背伸びた?」
高校も同じ私達四人は珍しく四人で登校している。
いつもは部活をしているせいと結人、部活をしてない私と舞花、というペアで登校している。
今日はせいの隣に舞花がいて私の隣には結人がいる。
「え?そうか?この間測ったら178あったんだよな〜」
「え?!デカくない?!」
ぎょっとした顔をする結人。まぁ、そうだよね。
私はチラッと結人の顔を見た。
「まぁ、結人は170もないしね?」
フッと馬鹿にしたように私は鼻で笑った。
「は?!」
焦ったようにこっちを振り向いてきた結人。
顔が近い。そう、私と結人は同じくらいの身長だから。
「私より小さいんじゃない?私は168あるもん」
「はぁ?俺は169でした〜!ざんねーん」
べーっと下を出す結人とカチンとくる。
「たかが1センチしか変わらないじゃん」
何を1センチで張り合ってんだ私達は…。
つい結人とはくだらないことで張り合ってしまう。
身長も、成績も。いつも結人は競う対象だった。
「せい君またバスケ部入る?」
私達の競い合いは完璧に無視されていて、前を歩く2人は部活の話しをしていた。
「え、いやぁ…。正直迷ってる」
珍しく言葉を濁したせい。
「ええ?なんでぇー?身長もあって中学でもうまかったじゃん!」
もったいないよ。そんなの。私の残念そうな声にせいはちらっと私の顔をみて苦笑した。
「だって、どうせやっても意味ないんだから」
「せい…君?」
クールな性格のせいだけど、こんな意味深なことを言うせいは初めてだった。
「どういうとこだよ」
結人も歩きながらせいの肩を掴んで真剣に尋ねる。
「お前はサッカー部入るだろ?」
せいは結人の方を向いて首をかしげた。
あまりに内容を掴めない質問に結人は鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をした。
「え、まぁ、そりゃあ。入るけど…」

