そうすると、せいはまた私の目をじーーーーーっと見てきて意地悪くフッと笑った。
「何か探ってくるように言われたの?」
ギクッ!!なんで、探ってるのがばれた?!
私は大きく首を横に振って否定する。
「まさか!探ってなんていないよ!」
まだじーーーーっと見てくるせいに耐え切れなくて目を横にそらす。
その時、バチッとおでこに痛みが走った。
「いたっ!」
すかさずおでこに手を当てると、せいがべーっと舌を出していた。
「お前わかりやすすぎ。探るように言われなくてもお前は探るだろ?」
うう…。図星…。
おでこの痛みはデコピンをされたかららしい。
これはせいの昔からよくやってる技。
「なんだっていいでしょ?モテモテの星太君の好きな人はみんな気になります〜」
私も反撃として思いっきりバックでせいの背中を叩いた。
「いてっ!お前な〜」
「きゃーー!追いかけて来ないでぇぇ!!」
追いかけっこ状態へと変わり、私たちは追いかけっこしながら家まで走って帰っていった。
「はぁ、はぁ…もう本当疲れた」
家の前まで来て逃げ切った私は道路に膝をついていた。
ここら辺は夕方そんなに人いないし、気にしない気にしない。
「お前、ちょこまかっ…しすぎー…だろっ!」
後ろからせいの途切れ途切れになった文句が聞こえる。
よいしょ、と立ち上がると後ろにはせいが膝に手をついて息を切らしていた。
「はは…まぁ…ね!」
久々の猛ダッシュに今日は筋肉痛で悩まされるんだろうな、と思いながら逃げ切ったことを誇らしく思っていた。
「まったく。もう帰るわ」
せいは呆れた声でそう言うと振り返って向かいの自分の家へと帰っていった。
「また明日〜」
せいの背中にそう声をかけてドアを開けようと手を掛けた。
「なな!」
「なんのよー」
何の用かと聞こうと後ろを振り返った時、言葉を飲み込んだ。
「結人とおめでとう。幸せにな」
そこには、今まで見たこと無い…笑っているのにどこか冷たい笑顔のせいがいた。
「あ、うん。ありがとう…」
思わず固まってしまいお礼を言いそびれそうになった。
今の顔…なんだろう。
祝福してくれてるようで、どこか冷たい笑顔。
もしかしたらせいも私と一緒で
舞花が壊そうとした壁を認めたくなかった人なのしれない。
ずっと、四人は変わらないと思っているのかもしれない。
怒ってるのかな…?
少しだけ、チクンと胸が痛んだ。