四色恋模様





「ねぇ…せい?」


せいの背後から恐る恐る声をかける。


くるっと振り返ったせいにドキッとして一歩後ろに下がった。


「職員室だろ?行くぞ」

ぶっきら棒に言うと、せいは立ち上がって教室のドアの方へと歩き出し。





「ちょっと!置いてかないでよ」



まだ怒ってるの〜?!


私は駆け足でせいを追いかけて半歩後ろ距離をとって歩いた。




無言でそのまま職員室に行くと、ドアの前には上島先生が立っていて私達に気がつくとニコニコしながら手招きした。



「よかったよかった!はい、この資料の綴じ込みと名簿作りね」



先生は紙の束を私とせいによいしょ、と渡して頼むよ〜と言って職員室の中に入っていってしまった。



「…………」



沈黙は続いているけど、きっと思っていることは同じはず。


面倒くさいとか、ふざけるなあの親父、とか。



そこら辺は分かり合えるのが幼馴染だ。


服が擦れて隣のせいが動いたのが分かった。

何も言わずに歩き出すって…本当今日は感じ悪いな〜。



仕方なく追いかけてまた半歩距離を取る。




教室まで戻ってせいは自分の席にプリントを置いた。


もう…。本当こまるんだから!


「私名簿作るね!せいはそっち宜しく」



いいわよ!そっちがその気なら私もとことんやってやる!!



私は早口でツンとした言い方でせいに頼み自分の席にスタスタと歩いて行く。



せいは結局何も言わずにホチキスを取り出してカチャカチャと綴じ込みをしていく。



私は先生からもらったクラスの座席表を見ながら委員会の名簿を作っていた。


ムカつくムカつく!せいってばなんなの?私や結人が何したっていうのよ!?


そんなことを考えながらガリガリとクラスの人の名前を書いていると、サッと影ができた。



「え…」



ビックリして上を向くとせいがこっちを見下ろしている。


「ちょ!びっくりするじゃん」


逆光になっているせいでせいの表情はわからない。



「俺もう終わった」


「え?!早くない?」


せいはぶっきら棒にそれだけ言うと前の椅子を引っ張りだしてこっちを向いて座った。