「舞花なら大丈夫だから、焦らずにね。舞花のペースで頑張って」
こういうのは私らしくないけど、でも舞花の不安とかは私もわかりたいし。
「なによなな!らしくないなぁ〜」
舞花はふふと笑って、ありがとうと言った。
「流石幼馴染だね。なんでもわかってるみたい」
桃が目を丸くして感心していていた。
「まぁね、もう10年位の付き合いだし」
「10年?!凄いねぇ!」
桃は驚いてまた目を見開いた。
その時、丁度2時間目を告げるチャイムが鳴り桃は席に戻った。
ーーーーーーーーー…
それから時間は過ぎて、あっという間に放課後になった。
「はい、そしたらこの後ホームルーム委員の2人は残ってね」
あっ。
私は教科書をカバンにしまう動作をピタっと止めて前を見た。
そこには上島先生が私の顔を笑顔で見つめているのがみえた。
わ、忘れてた…。
「はい、号令!」
きりーつ!と日直の号令がかかって急いで席から立つ。
「さよーならー」
緊張感の溶けてきた緩い挨拶で今日もクラスは解散された。
私とせいを残して。
「それじゃ、頑張ってね!本当は一緒にいたいんだけど…お母さんと買い物があるから」
舞花が残念そうに眉を下げてそう言った。
「そっか!頑張る!バイバーイ」
私は舞花に手を振ってその背中が教室から出るのを見届けた。
クルリと前をふりかえると、まだ自分の席に座っているせいと、ほんの少しのクラスメイトしかもういなかった。
うちのクラス、いなくなるの早すぎ!!
いつもならそのうちの1人なんだけどなぁ…と思いながら仕方なくせいの方に近づく。

