「先生、新田と委員会を交換させて欲しいんですけど…」
「ん?交換?」
1時間目が終わってから私と舞花で先生にお願いに来た。
「はい、私実は放送委員がやりたくて…そしたら新田もホームルーム委員がやりたかったらしくて。ダメですか?」
ドキドキしながら上島先生を見ていると「ダメ」とバッサリ言われた。
え、ええ?!
「ちょ、なんでですか?!まだ委員決まったばかりだしすぐ変えられますよ」
上島先生に食ってかかるように私は一歩詰め寄った。
上島先生はちょっとだけ厳しい顔をして首を横に振る。
「そんなことしたら、本当は他の委員やりたかったのに我慢して他のやってる子もいるんだから。お前たち2人だけにそういう事はしてあげられないよ」
あぁ…。ごもっともです。
「…はい」
そんなまっとうな理由を言われてしまっては何も反撃する事が出来なくて。
私と舞花は仕方なく席に戻った。
「ちぇ、残念。ごめんね舞花」
「ううん!仕方ないし大丈夫だよ。それになながせい君と同じで良かった」
舞花はニコニコしながらそう言った。
「え?なんで?」
訳が分からず目を瞬きする。
「だって」
舞花はクスっと笑うと今日一番の笑顔で
「ななはせい君を好きにならないから」
と言った。
「だってそうでしょ?ななにはゆい君がいるもんね」
「あ、うん。そうだね…」
あれ…?なんでこんなに胸がざわつくんだろう。
なんだか舞花がいつもの舞花じゃなかったみたい。
私はせいを好きにならない。
そう断言されて、私もそうだと思うのに…心が揺れるのはどうして?
不思議なら気持ちを振り切るように私は首をブルブルと振った。
確かにせいはかっこよくなって私以外の人なら好きになってしまう可能性はあるけど、私はせいを好きになる事なんて流石にない。
幼馴染だから。舞花の好きな人だから。

