想像を膨らませていると舞花がまた突っ込んできた。
確かに考えてるけど…そんなんじゃないんだよなぁ。
舞花には苦笑いで曖昧に流しておく。
あまり深く関わられちゃうと私と結人がどんどんカップルっぽくしなきゃいけなくなっちゃうし。
「…ななさぁー」
私と舞花のやりとりを見ていた桃がふいに私を呼んだ。
「え?」
私は桃の方を振り向き桃の顔を見上げた。
でも、桃はこっちを見ていなくて違う場所をじっと見ていた。
「なに?桃」
何見てるんだろ?
桃の視線をたどろうとすると、桃はそれに気づいたのか私に視線を移してきた。
「いや…なんでもないわ」
「あ、うん…」
桃はそれっきりで、すぐに自分の席に戻ってしまった。
「桃ちゃん、どうしたんだろうね?」
桃の背中を不思議そうに見ながら舞花はそう呟いた。
「さぁ…?」
桃は大人っぽいから、こういうミステリアスなとこもあるのかな。
キーンコーンカーンコーン…
その時タイミング良くホームルームの時間を知らせるチャイムが鳴った。
「はい〜席について〜」
ドアがガラッと空いて上島先生が入ってきた。
まだ4月だというのに額には汗がにじみ出ている。

