「ななーーー!!もう8時だよー?」



「わかってる〜〜!!」





4月。




そう、今日は高校の入学式。



そんな良き日に成瀬七恵は遅刻のピンチに陥っていた。





「もう後5分で舞花ちゃん来ちゃうよー?」



一階からお母さんの急かす声が聞こえる。


「わかってるってばぁー!」


高校の新しい制服を楽しむ事なく着替え終わり急いで下に降りる。







ピーーンポーーン



「はーーい」




洗面所に駆け込んだ時お母さんがリビングから玄関に行くのが見えた。



ガチャっとドアを開ける音が歯磨きをしてる最中に聞こえた。

「あ、舞花ちゃんおはよう。制服似合ってるわ〜!」




舞花もう来たの?!


歯磨きを終わらせて適当に手ぐしで髪を整えてもう1度階段に向かう。




「あ、なな早くしな!」



「あ、舞花おはよっ!」



玄関を見ると舞花が立っていた。

「おはよう」


ニコッと笑う舞花を見て私は階段を駆け上がる。




「ええっと、バッグバッグ…」



自分の部屋に戻りスクールバッグを探す。

「あ、あった!」




机の横に置かれたバッグをとり急いで玄関に向かう。



「もう、いっつもこうなんだから」


「うるさーい!仕方ないでしょー?!」



玄関に行って靴を履きながらお母さんの小言を聞く。
もう慣れたけどね?




「ごめんね!舞花行こう!」



「うん。行ってきます」


舞花はぺこりとお母さんにお辞儀をするとすっと玄関から出た。


「いってらっしゃい!また後でね!」



「はーーい!」


手を振るお母さんに振り返して家を出た。