『はい、もしもし?』
その晩、私は結人に電話をかけた。
すぐに結人はでたけど、私はのどに何かがつっかえたようにすぐに言葉を発することができなかった。
「あ、結人?外出てこれる?」
『あ、大丈夫。今すぐ行くわ』
結人がそう言うと電話は切れた。
私も部屋を出て下へ降りる。
「ちょっと結人に会いに行ってくるー」
「えー?今からぁ?」
リビングから顔を覗かせたのは中学2年生の妹、織羽。
「うん、すぐ帰ってこれると思うけど」
トントン、と靴に履き替えながら織羽に言う。
「ふ〜ん…。前から思ってたけど、ゆい兄ちゃんとななねぇは付き合ってるの?」
「はぁ?!」
織羽の爆弾発言に流石に無視できなかった。
バッと後ろを向くと、織羽はアイスクリームを食べながらこっちを見ている。
「いや、だって舞姉ちゃんとせい兄ちゃんは付き合ってるっぽいし…そしたらゆい兄ちゃんもななぇもいい雰囲気だし?」
「は?あり得ないから!それにせいも舞花も付き合ってないよ!」
これ以上織羽と話してたら結人待たせちゃう!
私はそれだけ言って勢いよく外に出た。
「遅いぞなな」
外に出ると、玄関の前にはもう結人がいた。
まぁ、お隣だから普通なんだけど…。
「ごめん、織羽に捕まってて」
結人に駆け寄ってへへ、と笑ってみせる。
「なるほどね、織羽ちゃんか」
結人は納得したようにクスッと笑って顔を思い出すかのように空を見た。

