いやいや、それは流石になんか違う…。
「おい、何怒ってんだよ」
ガシッと後ろから肩を掴まれて静止した。
振り向くとせいが険しい顔で私の事を見下ろしていた。
「いやぁ、べつに?なんでもないけど」
私って感情がすぐに声とか顔とかに出ちゃうから嫌だなぁ。
「何にもないなら怒らないだろ?何があったか話せよ」
せいは少し表情を和らげて微笑んだ。
あ、この顔…。舞花に見せる時と少し似てる。
あまり見たことない表情にトクン、と胸がなる。
ふと、せいの後ろに視線をずらすと心配そうに見ている舞花の顔が見えた。
心配…?なんか違う。不安そうな顔だ。
「もう、なんでもないって!先帰る!」
「ちょ、おい!」
私はせいの手を振り払って1人で家までの道を走った。
高校入ってまだ1週間なのに…中学の時とは少しずつ変わってきている。
特に舞花が。
大人しい控えめの舞花は、高校入ってから頑張ってせいに沢山話しかけている。
幼馴染だけど、いつも舞花は私とばっか喋っていたのに。
この心の焦りはなに?
幼馴染が壊れそうだから…?
でも、舞花はせいとのその壁を壊そうとしている。
でも、私は壊したくないの。
でも!舞花の事は応援したい。
複雑に糸が絡み合っていて解けない…そんな感じ。

