「ただ星太君、運動神経良さそうだから何か入るのかな〜って思ったの」
「なるほどね…」
舞花は恥ずかしそうにしながらも、納得したみたいだ。
「中学の頃はバスケ部で活躍してたんだよ。背が高いし」
チラッとせいの方を見ると、いつの間にこっちを見ていたのかバチっと目があった。
てを小さく振ってみると、せいは微笑んで小さく振り返してくれた。
「ふ〜ん…。そうなんだ。じゃあ、高校でも?」
「さあ?どうだろ。この間話してたら、意味ないし。みたいなこと言ってたんだよね。よくわからない」
入学式の日に見せたあの顔を私は思い出した。
『だって、どうせやっても意味ないんだから』
部活で嫌なことでもあったかなー?
でもそしたら何か言ってくれると思うんだけど…。
「せい君、何かあったのかな?」
「あ、舞花も知らないんだ」
もしかして舞花になら言ってるのかもって思ったけど。
舞花はコク、と頷いて寂しそうな顔で前にいるせいを見つめていた。
「せい君何も言ってくれないよ。なんでかな」
「もしかしたら、ただ単に面倒くさくなっただけかもよ?」
桃の言葉に出来れば頷きたいけど…幼馴染として長い間付き合ってると、やっぱり気になってしまう。
「そう言えば、星太君昨日は2年の先輩からメアド聞かれてたよ」
「えええ?!」
桃はなんでもないような口調でサラッとそう言ったが、舞花の方は思いっきり驚いた声を出した。
「そうなの?!教えてた?」
珍しく舞花が積極的に喋る。
本当にせいが好きなんだな〜。
「いや、断ってたよ。あんまり教えたくないので、とか言って」
教えてないと知ると、舞花はホッとしたのかため息をついた。
「せいなんて中学の時からあんな感じで人気じゃん。舞花もだけど」
「そんなこと「新田さーん」
舞花が否定しようとすると、廊下から男の子が舞花を呼ぶ声がした。
「ほら、いってらっしゃい」
中学の頃からのおなじみの光景。
舞花は戸惑ったように、曖昧に頷くと男の子の方へ駆け寄った。
2人は何か喋って、すぐにどこかへ行ってしまった。

