「私、せい君の事大好きだよ。でも同じ位ななも、ゆい君も大切なの。それはななも同じはず。
私は、せい君の幸せを願いたい」
ジッと見つめてくる舞花の表情が少し和らいだ。
「そのためには、なながいなきゃダメなんだよ。私の幸せのためにも、せい君の幸せのためにも」
幸せのためにも…。
前にも結人が同じようなこと言ってたのを思い出した。
舞花の幸せを願っているとかなんとか…。
ねぇ、結人…。舞花の幸せを叶えたい。
結人の望む形じゃないけど、いいかな?
「舞花…ごめんね。ありがとうっ」
ポタポタと溢れては床に落ちていく涙をぬぐいながら舞花に感謝の言葉を捧げる。
「ななが伝えに行く番だよ。せい君、お家に帰ってるから」
そう言うと舞花はグイッと私の手を引っ張って立たせた。
「ちょ、まって!今?!」
あまりの展開の早さにさすがに私はたじろぐ。
「そう!今!せい君の気持ちが変わらないうちに!」
そう言いながら舞花は私の背中を押して部屋から出そうとする。
ま、まだ心の準備がっ!!
抵抗も虚しく部屋から出されてしまいには玄関まで追いやられた。
「頑張れ、なな。射的の容量で星太君の心もしっかり当てたれ」
拳をこちらに向けてかっこいいことを言う桃。
「大丈夫だよ〜。せい君とっくに撃たれてるよ〜」
可笑しそうに笑う舞花。
そんな舞花を見て、まだ本当にいいのか悩む。
あんなに好きだったのに…。
本当にそんなに簡単に諦められるの?
私の表情から心を読み取ったのか、舞花は厳しい顔になった。
「もー!またいらないこと考えてる!私はいつまでも子どもじゃないよ?!」
「あー…すいません」
ピシッとデコピンされてうぎゃっ、と変な声が出た。

