「え?」
呆気にとられた顔でせい君は一言声を漏らした。
「好きです。ずっと前から好きです。もちろん、異性として!」
唇を噛み締めてせい君の言葉を待つ。
せい君は驚いた顔をしたけど、すぐに真顔になった。
私の言葉は本気だと受け取ってもらえたみたい。
「どんな答えでも私は受け止めるよ?だから返事を下さい」
真剣な目で真剣な目を見つめる。
せい君は1度口を開いたと思うと、また口を閉じた。
何か考えてる…?
「その…舞花」
やっと話し出したせい君の声はとても真剣だ。
「うん」
私も真剣な声で返す。
「ごめん。俺は…やっぱりななが好きなんだ」
せい君はこっちに体ごと向き直るとペコッと頭を下げて、ごめんともう1度言った。
答えは知っていた。だから不思議と心は軽い痛みですんだ。
と思う。
「知ってたよ。ずっと前から、せい君はななしか見えてないってこと」
「え、まじ?」
せい君は頭を上げて拍子抜けした声で聞いてきたので思わずプッと吹き出してしまった。
「うん、まじだよ〜!幼馴染だよ?それくらい分かるって!」
へへん!と得意げに胸を張って言い切る。
暗いからよく分からないけど、せい君は照れているようで手で口を隠していた。
「だから、気持ちを伝えてスッキリしたかったの!私は満足だよ。ありがとう!」
これでようやく私はせい君離れできるのかな。
「だから、これからも幼馴染としてよろしくね」
何も言ってこないせい君の右手を無理やり掴んで私は握手した。
「うん。よろしく」
ようやく言葉を発したせい君は、あのななに見せるような無邪気な笑顔で私に笑ってくれた。
「あ、それじゃあもう行こう!まだ食べたい物もあるし〜」
クルッと反転して神社の表に戻ろうと歩き出した。
あぶないあぶない!
霞む視界を瞬きしてどうにか涙を乾かす。
あの笑顔、やっと見れた。

