「じゃあ、買ってくるから!」
せい君を屋台から少し離れた所に残して、私はりんご飴を買いに行った。
並んでいる間に周りを見渡す。
ふーん、隣は射的か〜。
なんとなくジッと見ていると、また見覚えのある浴衣姿があった。
「っしゃー!!また一個倒したぁ!!」
そしてガッツポーズをして1人ではしゃいでいる。
紺色ベースに朝顔が咲いている大人っぽい浴衣。
しかし髪の毛は一切結ばずいつも通り。
一目でななだと分かる。
「お姉さん?買うの?」
その声にハッとして前を向くと屋台のおばさんが首を傾げていた。
しまった、つい見入ってたよ。
「はい、一個ください!」
私は300円を渡して大きなりんご飴をひとつ買った。
隣からはまだななのはしゃいだ声が聞こえる。
「ちょ、嘘だろ…。お姉ちゃん勘弁して!」
おそらく射的のおじさんだろう。そう言うのが聞こえてきた。

