「せいは…好きな人いるの…?」
小さい声で恐る恐る聞いてみた。
いたとしたら、申し訳ないことをしてしまった。
いくら舞花を応援したくてもせいの気持ちを無視して突き合せるようなことは出来ない。
それに、私自身も舞花とせいが付き合う事を素直に受け止めきれるか…今は自信がない。
「いるよ。好きな奴ぐらい俺にもいる。だからもうほっといてくれよ」
「………」
せいの辛そうな声はちゃんと耳に届いていたけど、うんとは言えなかった。
いるんだ…。舞花以外で好きな人が。
もう、私はどうしたらいいんだろう?
同じ幼馴染2人の恋を応援するなんて出来ない。
舞花を応援したいけど、せいだって大事な幼馴染だもん。
気持ちをないがしろにはできないよね…。
私の気持ちは?
その疑問が頭に浮かんできてギュッと制服を握りしめた。
いいよ、どうでも。もう叶いっこないんだから。
「わかった。今までごめんね。もう何も言わないからね」
ハハ、と力なく笑って散らばったプリントを私は集めた。
「…ちが…ちがう。なな…違うんだよ」
「え?」
しゃがみこんだまま上を向こうとすると、グイッと腕を掴まれて無理やり立たされた。
「なっ!!」
すぐそばにはせいの顔がある。

