チラッとせいのほうを見ると、その後ろ姿は別にいたって普通だ。
どんな顔してるか後ろ姿じゃ分かんないもんな…。
「バイバイなな」
「うん、バイバーイ」
舞花に手を振ってはぁ、と一つため息をついた。
「それじゃ、冊子の方宜しく頼んだよ」
教卓に行くと、早速プリントの束を渡されて上島先生はどっかへ行ってしまった。
なんでせいと仲違いするときにこうなるかな…。
無言のまま突っ立っていると、隣にいたせいは後ろを向いて歩き出した。
え…どうしよう…。
慌てて振り返るとせいは自分の席にプリントを置いて作業し始めようとしていた。
でも、冊子に綴じ込む分のプリントの一部は私が持ってるんだけど…。
オロオロとしてるとせいがこっちを見てきた。
「…っ」
目があってピシッとかたまる。
「それ、ないと閉じ込めないから来てよ」
不機嫌…というより無感情?
何も気持ちのこもらない言い方でそれだけ言うとせいはフッと目をそらした。
もう、気まずい〜!!
仕方なくせいの前の席に座ってプリントをせいの机に置いた。
カチャ、カチャ、とホチキスの音だけが教室に響く。
本当に私たち…他人みたい。
話す事がないと嫌でも考えてしまう。

