「おはよう、桃」
「おはよー、なな」
まずは桃への挨拶。いつも通りだ。
それからー
「おはよ〜なな〜」
ふわふわと可愛らしい声がすぐ聞こえてきた。
クルッと振り返ると舞花がいる。
「あ、おはよう舞花」
挨拶を返すと柔らかい微笑みが返ってくる。
私はせいと話さない方がいいの…?
舞花の視線が自然とせいの方にいくのは痛いほど良くわかる。
私は今更すぎた。舞花を応援してるのに後から好きだなんて言えるわけない。
「あのね、私結人と別れたんだ〜」
「「えっ?!」」
何気なく言ったその言葉に2人は目を見開いて振り向いた。
「ちょ、どういうこと?!」
ガクガクと私の肩を掴んで揺さぶる桃を舞花が止めに入る。
「私と結人はダメだったみたい!やっぱり兄弟みたいな関係が1番だわ〜!」
えへへ、といつものように笑ってみせる。
「もしかして、なな他に好きな人でもいるの?」
消え入るようなその声に一瞬だけ心臓が止まるかと思った。
「まさか…舞花そんなことないから!」
心配そうな顔で見つめてくる舞花にとびきりの笑顔でそう返す。
結人…あんたはこれが望みでしょ?
「そっ…か」
あからさまホッとした表情になった舞花。
やっぱり、私がせいを好きだと思ってるのかな…。私とせいの仲を疑っているのかな…?
「うん…」
ごめんね。1つは嘘だけど1つは本当だから…。

