「は?ふざけるな」
ビクッと一瞬体が引きつった。
結人は分かってくれると思ったのに…結人はいまだに私を睨み続けている。
背中にツーっと冷たい何かが垂れていく気がした。
「悪いけど、俺は舞花の事だけを考えてるんだよ。幼馴染の事じゃない」
結人はまるで唸るようにしてこっちを見て言った。
「舞花の事だけだ」
結人はそう繰り返すと、歩くスピードを上げて行ってしまった。
幼馴染じゃない…。舞花の事だけ…。
「あ…ああ…そうか…」
結人の言った意味が、今ちゃんと分かる。
やっぱり…四人ずっと一緒なんて思ってたのは私だけなのかな。
ギュッと唇を噛み締め、私も1人で学校に向かった。
結人はずっと、ずっと…
幼馴染でもなんでもない舞花というただ1人の女の子を…
唇を噛む歯に自然と力が入ってしまう。
私は違ったよ。でも今ならわかるよ。
せいという、ただ1人の男の子を見ているんだもん。

