「じゃ、さよなら結人」
「このやろ〜〜」
教室まで行くと、結人はただ一人4組の教室の方へ向かった。
「可哀想なゆい君…」
舞花が切なそうに結人の後ろ姿を見つめていた。
「そうだな。可哀想に」
くくっと笑いをこらえながらそう言うせいの肘を私はつついた。
「思ってないでしょ?」
「え?思ってるよ」
クールでいて意外とそういう面もあるから人気者なんだな、せいって。
「うちらもクラスに入ろー」
「あ、うん!」
私は舞花の手を引っ張ってクラスのドアを開けた。
机の左上にはそれぞれ名前が書いてあって誰の席なのか分かるようになっている。
「どーせ、せいは一番最初でしょ?」
相澤、と言う苗字のためずっと1番か2番だった。
「多分な。あー席替えまで寝れないな」
ふぁ〜とあくびをして1番前の席へ向かう。
その姿を見ていると、ふとある事に気付いた。
「やば…あの男の子かっこいい」
「凄いイケメンだね〜!」
せいが通るとやっぱり女の子達はかっこいいね〜!なんて話してる。
というか、早くも友達のグループが形成されつつある。
「どお?やっぱり1番だったの?」
私と舞花は後からせいの方に向かって歩いた。
「もちろん」
ニッと笑って左上を指差した。
「ふ〜ん、じゃあ私達も観に行こう!」
私は舞花の手を引いてま教室を回り始めた。
きっと、真ん中の列くらいにあるはず…。
「あ、ここだ。20番」
丁度窓側から3列目後ろから2番目の席。
「成瀬七恵」と左上には書かれてあった。
「うそー!私21番だよ!」
「え?!」
後ろを振り向くと嬉しそうに笑っている舞花が、ほら!と言って机を指差した。
確かに「成瀬」と「新田」だから席が近い事はあったけど、前後は初めて!!
「やった〜!よろしくね舞花」
頭の良い舞花が後ろだなんて!なんて心強い!

