私が一番子どもだったんだ。
結人がどれだけ大人だったのか、今よく分かったよ。
「ただいま〜…」
あれ?
家に帰ると、うちの家にはない大きなローファーが玄関にあった。
誰のだろう…。
「あ、帰ってきた!」
リビングからお母さんが顔を出している。
「せい君来てるから!あんたの部屋に案内したよ」
「えっ?!」
そこでハッとした。そうだ!せいと打ち上げする約束したじゃん!!
バタバタバタっと階段を駆け上がって思いっきり部屋のドアを開ける。
「おっせーんだけど?」
そこには床に座って漫画を見ているせいがいた。
手にとって見ているのは『キュンとする3秒前♡』という私の大好きな漫画。
「ちょっ!あははっ!せいがそんなの読んでるとか!学校の人が知ったら幻滅するっ、あははははっ」
ブッと思わず吹いてしまい大笑いする。
コテコテの少女漫画を学校の人気者が読んでるとか。
幼馴染だから、見れるのかな?
そう思えば、幼馴染も悪くないよね。
大笑いする私を呆れた目で見ていたせいは漫画を置いて早く、と不機嫌そうに言った。
「あはは〜ごめんごめんって。あーマジうけるわ」
本当、学校のイケメンが『キュンとする3秒前♡』なんて漫画持ってるのが可笑しい。

