突然。



「俺、由奈のこと好きだぞ。」


「え、あ、うん。」


「だから、お前も俺を好きになれ。」



いや、それはむちゃくちゃだ。



「そんなの、分かんないじゃん。」


『俺が、お前をもっとドキドキさせてやるよ。』



耳元で囁かれた甘い声に、心臓がどくんと音を立てる。



「わ、わわ分かったから!」


「ふっ。」


「な、なに?!」


「勝ったな。」



だからあんたはなんも勝ってないだろ!



「律ー!仕事しろー!」


「あ、俺呼ばれてる。」



仕事やってなかったんかよ!



「じゃーな。」



そう言うと、神崎は走って行ってしまった。