あなたって本当に芸能人なんですか?

風が吹き波が押し寄せ、歌って踊るアイドル…そんな山門芝居のような劇を観ている観客のように、私は彼を見ていた。

晴野カナト。

グループはなく単独でデビューした、美少年アイドルが売りの男。

小花ちゃん曰く、一人でも他の人気アイドルグループに負けない実力を持っているらしい。

歌はもちろん、俳優やバラエティーなどにも出演している売れっ子だそうだ。


そんな人がこんなとこで無防備に撮影なんてしてていいの?

と思うのだが、本当はいつも海外で撮影しているのだけど、絶賛人気すぎて今じゃ仕事で国内から出られないらしい。


本当になんでも知っているなぁ、と小花ちゃんに言えば

「こんなのカナトファンのなかじゃ常識だよ!」

やら

「でもファンのなかで私が一番知ってる自信はあるけどね!」

と朗らかに笑っている。

そんな可愛らしい小花ちゃんに癒されながら、興奮する小花ちゃんを時々諌めながら、私は彼女の興味が失せるまでその場にいることにした。


…まぁ、興味が失せるのは撮影が終わって、撮影クルーが去って姿が見えなくなるまでなんだろうけど。


私は一人、ため息を吐く。