「それだけ、ね。そうか…まぁ、そうだな。みんなが皆、俺のことを知ってるわけじゃないし。みんな俺のファンってわけじゃない」
悟っている。
いや、やっぱり拗ねている?
達観してそうなその態度からは、なにを考えているのか解らないが、私が勝手に思うに『人類みな俺のファンになればいいのに』と思っていそうだ。
「お前、親は?」
「父はまだ仕事ですね。母は私が小さい頃に他界してます」
「父子家庭か。お前ひとりで大丈夫なのか?」
「?大丈夫ですよ。家事はひとりでも出来ますし」
そう言うと、微妙な顔をされた。
なんだ、なんだというんだ。
「…こうやって、よく知らねー男を家に連れてくるって、大丈夫っていえねーだろ」
「自分で言いますか」
「自覚はしてる。けど、俺は何もしねーからいいの」
どこまで俺様ですか。
美少年アイドルが笑えるな。
「お前、いま失礼なこと考えただろ」
「いえいえ、そんなまさか」
滅相もございませんよ、本当に。
