「客人っていうなら、それ相応の態度をとってくださいよ」

「それ相応?」


心底疑問、という表情に思わずため息が出る。


「不遜な態度を表さない、出された物は残さない、家主の許可なく動き回らない…」

「そんなこと、俺はしてないぞ」

「…ソーダは飲み干すと言っていたのでいいとして、他二つは当てはまりますね。不遜な態度ですし、うちに入ったときトイレだって言って二階に上がろうとしてたじゃないですか」

「…俺の家では二階にもトイレはあるんだよ」

「知りませんよ。家に二つもトイレがある家なんて大家族ぐらいしか思い付きませんが、ともかく許可なく動き回るのはタブーです」


手で×を作ってダメだと示してみる。

すると不遜アイドル様はそれから目を反らして、「そういえば、」と話し出す。

そのあからさまに話を反らす行為に、やはりため息の出る私。


…あぁ、幸せが逃げていくんじゃないか。
現在進行形で。