過激なファンがいるからって、こんな…まぁ、平たく言えば(言わなくても)田舎に付いてくる猛者なんていないのだろう。

小花ちゃんは例外だ。
あの子は過激なは過激でも、内心だけ過激派な子なので無害だと、信じたい。

すると少し安心した。
勝手に心配して勝手に安堵する。
ハルさんからしたら、なにこの変な女、という感じだろうけど、行きずりでも関わってしまったので、関係ないと思っていてもやはり心配するのだ。


「心配してたので、よかったと思っただけです。さて私のことは気にせずに、食べたんなら出てください」

「……まだソーダ、飲んでねーだろ」


そう言ってソーダ瓶を揺らす、少し不貞腐れた様子のアイドル様。


「そのまま持って帰ってはいかがですか?」

「…手に持ったまま帰れってか?」

「そんなこと、当たり前にするでしょう」

「俺はしない。その場で飲んで食って帰る。じゃなきゃその場で捨てる」

「…じゃあ、捨てますか?」

「捨てるもんか。飲み干して帰るに決まってるだろ」

「そうですか。では早く飲み干してください」


売り言葉に買い言葉、という訳ではないけれど、いつの間にか言い合いのようになっていた。

そしてハルさんの拗ねたような顔。


「…お前、仮にも客人にそれはないんじゃないか?」

「客人?…それはもしやご自分のことを仰ってます?」

「この俺が、客人じゃないって言いたいのか?」


おお、なんていう俺様。
私の対応が悪いのか?いやいや、ハルさんは拾ってきただけであって、決して客人ではないだろう。