なんでこんなところにアイドル様が…撮影は終わったはずじゃ?
疑問が湧いたが、見るからに不機嫌です!みたいな顔をしている彼に問いかけられるほど、私は空気が読めない奴じゃない。
後ろに隠されたビニール袋を見て、アイドル様を見て、ひとつ頷く。
きっと彼はお休みで、何故かは解らないが三浜市へ来たのだ。
そしてきっとミハマソーダを気に入って、お土産に買って今から帰る。
まぁ、そんなところだろう。
「ミハマソーダ、美味しいですよね」
「あ?」
「パッケージはどうかと思うけど…まぁ、良かったらまた来てください」
私は三浜市観光庁か、というツッコミを自分にして、愛想笑いを浮かべて動かないアイドル様の横を通りすぎる。
と、左手首に違和感、そして進もうとした足でたたらを踏む。
腕を掴まれた。
誰に?
…アイドル様に、だ。
