あれから数日経って、部活オリエンテーションも終わった休み時間。


「真岳って部活何に入る?」

「まだ、決めてはいないけど…陸上部の見学に行こうかな、と」

隣同士。
この浜崎という男は別段、私の他に話す相手がいないとか、そういうのではないと断言できる。

いつも他の男子たちと話しているし、女子にも絡まれる。

いわゆるクラスのムードメーカーみたいな。

クラスに一人や二人はいそうなあれである。

そんな彼が何故私に話しかけているのかというと、そんなもの私が一人者だからだろう。

同じクラスになってから他の人と喋らない、クラスに馴染めない私を見かねて話しかけてくれる優しき同級生。

私のなかでの彼の印象はこんなもの。


「陸上かー。それもいいよなぁ」

「…浜崎くんは、なにに入るの」

「いや、俺さバスケ部とサッカー部で迷ってんだよね。でも陸上も捨てがたくなってきた」


おお、バスケとサッカーとは、モテる部活を選んできたな。

それに陸上を加えるのがよく解らないけど。


「バスケ部、かっこいいよね。サッカー部もだけど…浜崎くん身長高い方だし、バスケ部だと重宝されそう」


サッカー部だとキーパーとか似合いそうだけど、身長高いならバスケ部がいいんじゃないかと、勝手な口出し。

暗に背の低い自分の羨ましさから出た言葉だけれど。


「まじ?…じゃあバスケ部にしよっかなー」

「え、あ、うん。…がんばって」


思いの外真に受けてくれたのか、こっちが申し訳なるくらいの清々しい笑顔でそう決めていた。


いいのか、そんな適当で。