あなたが私にキスをした。




完成作品が、次々とライトアップされる。

そのあまりに幻想的な光景に、だれからともなく観客たちの口から感動の吐息がこぼれる。



ボクの作品は、実に堂々たる鳳凰の姿だ。

彼の図面を見たとき、これはボクにぴったりの作品だと思った。

彫りの精巧さに定評のあるボクの能力を、これなら十分に活かしてくれる。




きっと、勝てる。




赤いライトに照らし出されたボクの作品は、図面通り正確に掘り出された、迫力満点、文句なしの仕上がりだった。

もちろん、たくさんの人たちがボクの作品を写真におさめようとシャッターをきっている。

ボクは満足な思いで、会場を見回した。





そして、ある人だかりを見つけて、なんとなく嫌な予感がした。




大学の学部長の顔が、頭をよぎる。

食事会で聞いた泉川審査委員長のあの言葉がよみがえる。



人だかりに向かって歩いていくと、ボクの嫌な予感は的中した。





その人だかりの中心にあったのは、

間違いなく、


トキワの作品だった。