「泉川さんは、どの氷彫刻が一番お気に召したかね」
泉川。それは、この大会の審査委員長の名前だった。
「それはもちろん、優勝した作品でしょう。あれは実にすばらしい」
「まあ、そうでしょうな」
「あぁ。それから、『トキワ』とかいう彫刻家の作品もなかなか興味深かった」
その名前を聞いたとたん、ボクの全身に鳥肌が立つのを感じた。
「『トキワ』?はて、そんな彫刻家がおりましたか」
「あぁ、予選落ちしていましたからなあ。ご存知なくては無理はありませんね」
「予選落ちした作品でしたか!はっはっは、貴方もずいぶん変わったお方だ」
「いや、しかし彼の作品は『生きている』のです。しかしねえ、氷を一本しか使わずに作っているもんですからどうにも見栄えがしなくて結局予選落ちしてしまいましたがねえ。あれで大作を出していたらどうなっていたか、実に来年が楽しみですなあ」
来年が楽しみ、だって?
そんなことさせてたまるものか。
来年こそは、きっと、ボクが・・・!
たとえ、どんな手段を使っても!!!
