そして、1年前の氷彫刻世界大会で、ボクは入賞を果たし、彼は入選すら叶わなかった。
勝ったと思ったよ。
やっぱり、天才はボクの方だったんだって。
父の友人の、芸術家の言葉を聞くまでは、ね。
大会のあと、我が家で父の友人の芸術家達が集まって、食事会をしているときの会話を、ボクは偶然耳にした。
「いやあ、さすが貴方の息子さんだ。あの若さで入賞を果たすとは」
「いやいや、それほどでもないよ」
「来年は、優勝ですかな」
「さあ、どうでしょうね。はっはっは」
ボクの話題で褒められた父が、誇らしげにワインを飲み交わしている様子を想像して、ボクは嬉しかった。
ボクは会話の続きが気になって、隠れてひそかに聞き耳をたてた。
…だけど。
