あなたが私にキスをした。




私に残された時間は、あとどのくらいなんだろう。

一年かも知れない、一ヶ月かも知れない、


…たった1時間かもわからない。





大会もあとわずかで終わろうとしている。

その前に、やらなくちゃいけないことがある。

会場内を走り回って、日もすっかり落ちた頃、私はようやくその人を見つけた。




「ここにいたんですね、レイカさん」

「トーコ、さん…?」



レイカさんは、近くにあるビルの屋上から、会場を見下ろしていた。



「単刀直入におたずねします。トキワの図面を盗んだのは、あなたですね」

「…そうよ」

「それは、トキワを守るためですか」



レイカさんは、ただ黙っていた。

それが、答えなんだと思う。

婚約指輪と写真を見つけて号泣するレイカさんを見て、気が付いた。



レイカさんは、何かからトキワを守ろうとしているんだって。



「あなたなら、きっとトキワを幸せにできる。あなたにトキワをまかせたいの」



レイカさんが、震える声でそう言った。