あなたが私にキスをした。




大会前日、トキワの家の庭先で私は懐かしい訪問者に会った。



――ミャーオ。




可愛らしい鳴き声の、小さなおきゃくさん。


「また、会ったね」


私がそう言うと、デルタはまた私を導くように歩き始めた。

くねくねと細い一本道を抜けてたどり着いた先は、いつか訪れた古い小さな家。


「まっていたよ」


そう言ってあらわれたのは、占い師のドーラだ。



「そろそろ、時が来たようだ」



はじめて訪れた時と全く同じ光景。

ただひとつあの時と違うことは、私に運命の時がせまっているということだけだ。


「時々、身体が透明になるんです。まるで、氷だった時のように」


私が言うと、ドーラは「わかっているよ」いうように大きくうなずいた。




「あんたの魂の源は、その男の『愛』なんだ」

「はい」

「それも、あんたへの『愛』ではなく、別の女性への『愛』だろう」




別の女性、


――それが、レイカさんを示していることは間違いないだろう。

レイカさんへの強い思いが、私に命を与えてくれたのだ。