――side レイカ



ごめんね、トキワ。


私がもっと強くなれたら、あなたを傷つけずにすんだのかな。






私とトキワは出会ったのは、大学1年の夏だった。

それは、ほんの気まぐれで、なんとなく近道かな、なんて思って彫刻学科のキャンパス裏を通ってみたんだ。



「うわ、奇妙・・・」



そこは、ちょっとした林みたいになっていて、そのあちこちに彫刻家の学生が作った何とも言えないオブジェが怪しく立ち並んでいた。

中には作りかけがあったり、あるいは倒れて壊れているものもあったりして、なんというか美しいというより、正直薄気味悪かった。

その中で、ゆいいつ私が気になったもの。

それが、石でできた子猫だった。

気持ちよさそうに森林浴をする子猫。

まるで、今にも動き出しそうで、思わず手を伸ばす。

柔らかそうな見た目なのに、さわると硬くて不思議な気分になった。



「あ、それ一応作品なんで、あんま触らないで」

「わっ、ごめんなさい」



ひょろりとした、背の高い色白の男の子が、どこからか現れた。





それが、トキワだった。