あなたが私にキスをした。


「トーコこそ、どこに行ってたんだよ」

「ちょっと、猫を追いかけて」

「なんだよ、それ・・・」


トーコを見つけて気が抜けた僕は、そのまま雪の上に仰向けに転がった。

トーコも僕を真似して、となりに仰向けに寝転がる。


「あ、星がでてる」


僕のとなりで空を指さして、トーコが言った。


「あれが北極星。で、そこからこうやってたどって行った先にあるのがオリオン座」

「じゃああれは?」

「あれは、知らない」

「なあんだ」

「なんだって、なんだよ」


そう言って二人で笑う。



「そろそろ、家に帰ろうか」



僕はそう言って、ゆっくりと上半身を起こす。

だけど、トーコは夜空を見つめたまま動かなかった。