あなたが私にキスをした。


「あんたの名前を教えておくれ」

「トーコ、といいます」

「それはいい名前をもらったねぇ」



にやりと微笑む女性の目尻にシワが寄る。



「あたしはドーラ。占い師だよ」

「占い師?」



ドーラはおもむろにカードを取り出すと、机の上にパラパラと広げ始めた。



「あんた、人間じゃないね」

「どうしてそれを…」



ドーラはせわしなく手を動かしながら、なにか考えている。

そして最後にパン、と中央のカードを返すとドーラは静かに目を閉じた。



「悲しいね」


「なにが・・・ですか」


「あんたの運命さ」


「・・・・・・」


「あんたが愛を手に入れたとき、あんたの命は消えるのさ」



ドーラのしわくしゃの手のひらが、トーコの小さな手をそっと握り締めた。



「それでも、希望を捨てちゃいけないよ。人を愛することを、やめてはいけない」



困ったときにはいつでもここへおいで。


ドーラは優しくそう言った。